歯を削って詰める治療
銀アマルガム充填
アマルガムとは、「歯科用銀アマルガム」の略で、主にむし歯治療のため、歯に充填される歯科治療材料です。アマルガムは、健康保険の適用材料として認定されており、一般的に使用されてきました。奥歯のむし歯を治療で、光っていない銀色や黒色に変化した詰め物がある場合、アマルガムであることが多いと思います。近年では使用量は減少していますが、現在でも保険が適応するので、医院によっては使用される場合もあるようですが、水銀を使用するため、アマルガムの安全性を疑問視する声もあがっています。もちろん、水俣病を起こした有機水銀ではないですし、過去数十年にわたって使ってきた材料ですからある程度の安全性は示されています。しかし、定期的な研磨を行わないと、黒色に変化し長期の保存ができずに2次的なむし歯になりやすいことなどから、フクロ歯科医院では現在は使用を中止しています。
12%金パラジウム合金メタルインレー
インレー(inlay)は、窩洞(虫歯を削った後の穴)にはめ込む詰め物です。なお、インレーと同様の詰め物だが、咬頭頂を超え歯冠の大部分を覆うものを特にアンレー(onlay)といい、通常のインレーより強度が必要になります。一般的には、金属でできたインレーが広く使われています。健康保険でつくられるのは、金12%、銀50%、Pd(パラジウム)20%、銅17%で出来ている金属インレーです。強度は高く割れにくいのですが、長期的には変形を起こし、歯との間に隙間が生まれ、2次カリエス(むし歯の再発)を起こす可能性が高いとされています。色も銀色(金合金では金色)で、審美性が悪いです。また、長期的には錆びて溶出し、金属アレルギーを起こすことがあります。熱伝導性も高いので、熱い、または冷たい飲食物に対し過敏になることがあります。適合はそこそこですが、やや堅い材料です。展延性がないので、辺縁部を伸ばして合わせるということはできません。対合する歯にアマルガム充填があると電流が起こる(ガルバーニ)ため、咬む度に痛いと訴える方もいますので、その場合にはプラスチック(レジン)や自費治療のオールセラミックなどに交換されたほうが良いと思います。
レジン(コンポジットレジン)充填
コンポジットレジン修復法とは、むし歯に犯された部分を取り除き、その部分を硬質レジン(プラスティック)で補う方法です。少しの量でしたら元通りの白い歯にすることができます。しかし、むし歯が大きすぎて神経まで達していたり、むし歯に犯された範囲が広すぎる場合には、この方法は適しません。前歯以外に奥歯の治療にも適応することができます。コンポジットレジンでの治療は、ここ数年で考え方が大きく変ってきました。従来は、予防拡大といって虫歯の大きさ以上に歯を削っていましたが、歯と結合する接着剤が格段に進歩した為に、虫歯の部位だけ削れば良いようになってきています。場合によっては、トンネルを掘るようにして埋める場合もあります。詰める材料もナノフィラーなどの技術進歩で十分な耐久度や研磨性をもつようになっています。
ラミネートベニア
前歯で段差ができている場合や少しだけ色を変えたい場合などには、付け爪のような手法であまり歯を削らずにセラミックのラミネートベニアを貼り付けます。審美的に優れており、レジンセメントにより装着します。透明なものをつければ、現在の色のままに形態修正ができるとともに、若干の変色歯の場合には ベニアに色をつけて対応していきます。ホワイトニングを希望する方は、削らない歯とラミネートベニアが混在する場合は、ホワイトニング後に行わないとトー タルとしての色調を合わせることができませんのでご注意ください。材質としてはオールセラミックなのですが、エンプレスを使用する場合とセレックによる CADを使用する場合で価格が違います。
治療のメリット
- 審美性に優れています。
- 歯の形と色を同時に変えられます。
- クラウンに比べ歯を削る量が少ないです。
治療のデメリット
- 保険診療の適応外となるため費用が高額です。
- 適応症が限られます。
- 歯を削る場合があります。
保険外の歯を削って詰める治療
・金属自体をアップグレードしてプレシャスメタルを使ったもの
→ 金属の話
・オールセラミックを技工士がプレス鋳造するもの(エンプレス)
→ 歯を削った被せ物エンプラス
・コンピュータで削った部分を読み取りCAD/DAMで削ってしまうもの(セレック3)を使っています。
→ スピード修復セレック3D