根の治療と土台づくり(築造)
根管治療
むし歯が大きくなると、中にある歯髄まで細菌の感染が及んでしまい、神経を取るという作業を行います。これが根管治療です。感染が強ければ根の中に細菌が巣食ってしまい、時間がかかる場合もありますが、数回の消毒を行って、ゴム状の材質で詰め(根管充填)ます。当院では大きく拡大して見ることのできるデジタルのレントゲンで現状を確認しながら作業を進めてまいります。根の治療は、開業医でも技術の差がついてくるところです。また、神経を取った歯では、これがすべての予後を担っていますので、手を抜くことができない治療です。実はフクロ歯科医院の院長である袋一仁は、この根管治療を行う講座の出身であり、現在も講師を務めています(東京歯科大学保存学講座)。最新のテクノロジーを駆使しながら治療を行っています。今までもニッケルチタンという高価な治療用器具を使ってまいりましたが、2014年からはさらにスピードアップを図るため、1個のファイルだけで拡大できる画期的な治療装置も使用して参ります。これにより精度と時間短縮を図ってまいります。
支台築造
虫歯で歯を削ったり、何らかの理由で歯が欠損し、そのままではクラウン(被せ物・差し歯)を被せられない場合には、人工の土台(コア)で欠損した部分を補う必要があります。この歯の土台(コア)を作る治療のことを「支台築造」と言います。どんなに質の良いクラウンを被せたとしても、土台が悪ければ意味がありません。逆に、根の治療やコアがしっかりしていれば、上部の構造物であるクラウンを変えることは可能です(隣の歯が抜け落ちた後などに、上の構造物を変えてブリッジにするなど)。しかも、コアは一度装着すると外すのが非常に困難で、無理に外そうとすると歯が割れて抜歯になってしまうことすらあります。そのため、「土台(コア)はやり直しの出来ない治療」だと思っていただいた方が良いと思います(実際はやり直しをすることも多いのですが、やり直しのたびに歯が削られてしまうので、治療回数はできるだけ減らすのが得策です)。つまり、現状でできる最高の土台を入れることが長期の歯の安定を意味しています。
メタルコア
保険で欠損が大きい歯の治療する場合は、ほとんどの場合このメタルコアが使用されます。保健適応で安価なのですが、保険のメタルコアには、一般的に銀合金が使用されています(約1%のインジウムをいれることで物性がかなりよくなるため、当院では保健治療でもそちらを使用しています)。硬すぎるため、金属のくさび効果により歯が割れてしまうことがあります(歯が割れてしまった場合には、高確率で抜歯となります)。太く長いコアを入れていた場合には、再治療が困難になります(コアの除去時に歯が割れて、抜歯になってしまうこともあります)。オールセラミックジャケット冠をかぶせる場合には、中の金属の色が透けてしまうことがあるので向かない場合があります。歯茎から金属が透けて見えてしまうことがあり、金属TATOO(刺青)の原因となります(歯茎の色が黒くなっているのは、メタルコアに使う銀の酸化による場合が多いとされています)。金属アレルギーの原因となることがある自由診療では、欠点に対応するため白金化金などを用いる場合もありましたが、今はあまりメリットがないため使用していません。
レジンコア
レジンコアは、硬質レジン(プラスティック)で作られた白色の土台(コア)で、強度を増すため、内部に真鍮やチタンなどでつくった補強ピンを入れています。レジンコアはメタルコアと同じく保険適用のコアですが、強度・接着に問題があるため、奥歯で強い力がかかる部位や、深い虫歯がある部位には使用できない場合もあります。また、レジンコアは色が白く、セラミッククラウンを被せた際に見た目が良くなるというメリットがあるため、前歯部で噛み合わせの力がかからない場合には積極的に使用されることもあります(長期の予後を考えるとファイバーコアがオススメです)。ピンの除去は難しい場合も多く、除去時に歯が割れてしまった場合には、高確率で抜歯となります。また、比較的歯の欠損が少ない場合などは、直接硬質レジンを盛って、そのまま土台を作る場合もあります。
ファイバーコア
ファイバーコアは、レジンコアの強度を改善するために、コアの中にファイバーの支柱・芯を入れたものです。保健が適応されないためやや高価ですが、現在考えられる最高の物性です。特徴は、素材のしなる性質から歯が割れる可能性が低いことです。白いため、審美的に有利で内部が透けて見えるオールセラミックを被せる際にも有利です。再治療が必要になった際の除去が比較的容易で、金属アレルギーなどの心配がありません。
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