歯科衛生士ブログ
虫歯が副鼻腔炎(ふくびくうえん)を引き起こす?
副鼻腔炎ってなに?
鼻の周辺には副鼻腔(ふくびくう)といういくつかの空洞があり、その中に炎症が起こるのが副鼻腔炎です。
蓄膿症(ちくのうしょう)とも呼ばれ、
・膿(うみ)の混じった鼻水が出る
・鼻が詰まる
・頭痛などの痛みが出る
・匂いを感じにくくなる
といった症状があります。
虫歯との関係は?
虫歯(特に奥歯のもの)などによる炎症は、副鼻腔のひとつである上顎洞(じょうがくどう)まで広がることがあります。その結果、上顎洞に膿がたまり、副鼻腔炎の症状が現れます。
歯科治療が必要!
通常の副鼻腔炎は耳鼻科などで治療を行います。しかし、歯周の炎症が原因の場合、完全に治すには歯科治療が必要になります。
歯周病と糖尿病と睡眠不足
睡眠不足と歯周病が、実は関係している・・・なんて話、信じられるでしょうか。
歯周病は、歯と歯肉の間にたまった細菌の影響で、歯肉に炎症を起こしてしまう病気。
そして、この歯周病は糖尿病との関係も深いと言われています。
糖尿病になると歯周病の進行が早くなる、また、歯周病があると糖尿病を発症しやすくなったり、進行が早まることがあるそうなのです。
そして、糖尿病は睡眠とも深いかかわりがあります。
睡眠時間が短くなると、食欲を抑えるホルモン、レプチンが減少。
反対に食欲を増やすホルモン、グレリンが増加し、食事の量が増えます。
また、睡眠時間が短いと、インスリンの働きを抑えるホルモンが増えるため、インスリンの効きが悪くなり、血糖値が上昇します。
つまり、睡眠不足になると糖尿病に悪影響を及ぼす、と同時に、糖尿病とかかわりの深い歯周病も悪化させてしまう可能性があるということです。
睡眠時間をきちんと確保し、起床してすぐに太陽の光を浴びて体内時計をリセットするなど、質のいい睡眠を確保することも重要です。
歯みがき後のうがいは「1回」がオススメ?
虫歯予防の効果に大きな違いが!?
虫歯にならないために、皆さん毎日歯をみがいているはず。
では、歯みがきした後、何回うがいをしていますか?
実は、歯みがき後のうがいの回数が、虫歯予防に大きく関係するかもしれません。
虫歯は「ミュータンス菌」、いわゆる虫歯菌が糖を食べて酸を作り、その酸が歯の成分であるハイドロキシアパタイトを溶かすことによって起こります。
これを「脱灰(だっかい)」といいます。
しかし、初期の虫歯では、唾液に含まれるリン酸イオンやカルシウムイオンが歯のエナメル質層に浸透し、溶けて失われた部分に補充され、歯を元の健康状態に戻す「再石灰化」が起こります。
フッ化物を含むハイドロキシアパタイトは再石灰化を起こしやすく、しかも、いったん歯に戻ると脱灰しにくくなる。
言い換えると、歯の表面が虫歯に強くなっていくのです。
そのため、虫歯予防にはフッ素入りの歯みがき剤(ペースト、粉など)が良いと言われているのです。
ところが、歯みがきの後に何回もうがいをすると、歯みがき剤に含まれるフッ化物が流れて薄くなってしまいます。
ですから、歯磨き後の仕上げのうがいはごく少量の水で1回だけにする。
加えて、しばらく飲食しない。
こうすることで、再石灰化効果が高まると言われています。
炭酸飲料と⻭
暑くなると飲みたくなる炭酸飲料
春が終わり、夏日と言われる日が増えてくる今日この頃。そんな時、飲みたくなるのが炭酸飲料ですよね。でも皆さん、小さい時に親から言われたことありませんか?「炭酸飲料を飲みすぎると⻭が溶ける!!」と。
お口事情と炭酸飲料
⻭は口の中の酸性が強いと溶けだしてしまいます。その基準はpH5.5以下とされています。現在、売られている炭酸飲料はほとんどがpH5.5以下。⻭が溶けてしまう基準を満たしていることになります。しかし、お口は大変優秀で酸性に傾いても、唾液の作用によって中性に戻すことができるのです。
何事もほどほどに!
以上のことから、親の言っていたことは迷信で、飲んでも影響はない!と思いたいところですが、そうとも言えません。やはり、飲みすぎというものは、⻭に悪影響を及ぼします。
先ほど、唾液が口の中を中性に戻すと言いましたが、飲む頻度が多いと中性に戻す効果が間に合わず、酸性に傾き、⻭が溶けてしまう可能性が高まります。
やはり、親の言っていたとおり「炭酸飲料を飲みすぎると⻭が溶ける」のです。⻭のことを思うと、たまに飲むくらいが良いのですね。
認知症と口腔ケア
近年、「口腔環境」、言い換えると「口の中の状態」が認知症の発症に大きく影響しているのではないか、とする研究が発表され、話題になっています。
人は年齢を重ねるにつれて、身体のあらゆる機能が衰えていきます。口腔についてもそれは同様で、高齢者の方は次のような課題を抱えがちである、と言われます。
高齢者が持つ口腔内の課題
・口腔自体が持つ「清潔に保とうとする力」が低下
口腔には本来、「清潔に保とうとする力」があります。
唾液の力で歯の表面や舌、粘膜などについた汚れや細菌を洗い流すのです。
しかし、高齢になると唾液の分泌量が減少し、「清潔に保とうとする力」が低下する傾向にあります。
・虫歯や歯周病が多い
加齢によって歯茎が下がり、歯の根元があらわになることで、そこから虫歯が発生しやすくなります。
口腔自体の「清潔に保とうとする力」が弱まり、唾液の分泌が減ることで、洗い流されるはずの細菌が増殖、歯周病にもかかりやすい状態にあるとも言えます。
・治療跡や入れ歯が多い
高齢者の方は長く生きている分、虫歯や歯周病にかかった経験も多いケースがあり、そのため詰め物などの治療跡が残っている方も少なくありません。
詰め物をしている場合は、その下で虫歯が進行していることも多いですし、入れ歯を使用している方の場合、入れ歯と歯茎の間で細菌が増殖しやすくなったりもします。
3つの可能性が指摘されています。
1つ目は「咀嚼回数の低下」。
咀嚼回数が低下すると脳の認知機能への刺激が少なくなり、結果として認知機能の低下が起こり、認知症を発症しやすくなるのではないか?という意見があります。
2つ目に「食べられるものが偏る」という問題もあります。
歯がないと、食べられるものに偏りが出ます。その結果、ビタミン類の摂取が不足し、その結果認知症を発症しやすくなるのでは、と言われています。
3つ目に「歯周病」が挙げられます。
歯を失うということは、歯茎がむき出しの状態にあるということ。
そして歯周病を患い、慢性的な炎症を起こし、血液を介して脳に悪影響を及ぼしているという説もあります。
また、歯を失う、認知症を発症するリスクが最大で1.9倍になる可能性があるという研究結果が発表されました。
だからこそ、よく噛んで、バランスよく食べること。
そして、それができる口腔環境をキープすること。
それこそが、認知症予防にも効果的。口腔環境を清潔にすることと、口腔の機能を保てるようにすることの2点に意識して、お口から健康に長生きできる身体を目指していきましょう。
どうして永久歯の前に乳歯が生えてくるの?
皆さんはもう、おとなの歯に生え替わりましたか?
子どもの歯のことを「乳歯」、おとなの歯のことを「永久歯」と呼びますが、どうして、最初から永久歯が生えてこないのでしょう?
「乳歯」と「永久歯」ってなに?
子どもの歯「乳歯」は、生後6か月から8か月にかけて、下の中央から生えてきます。
それから徐々に生え揃っていき、人それぞれに差はありますが、2歳半〜3歳くらいになると、全ての乳歯が揃ってきます。
その後、6歳前後になると、永久歯が生えてくるようになります。
永久歯の歯並びがそろうのは、9〜12歳くらいにかけて。人によっては、20歳を過ぎてから奥歯に「親知らず」が生えることもあります。
やっぱり、わざわざ「乳歯」が生えてから「永久歯」が生えてくるなんてめんどくさい!
すぐに永久歯が生えてくればいいのに…と思う人もいるかもしれませんが、それには、実は理由があるんです。
まず「乳歯」が生えてくる理由
人間はみんな、生まれてすぐは赤ちゃんです。
母乳や粉ミルクを飲んで成長します。
この頃は、歯は必要ありません。
1歳頃になると、ミルクだけでは栄養が足りなくなり、もっと栄養価が高い「食べ物」を食べる必要が出てきます。
そのため、食べ物を噛んで、細かくするための「歯」が必要になるのです。
ところが、おとなの歯である永久歯は硬く、できあがるまでに5年以上の時間がかかります。
そのため、まずは小さめで、エナメル質や象牙質の厚みが永久歯の半分で、すぐに使える乳歯が先に生えてくるのです。
この乳歯を使って、子ども時代はご飯を噛んだり、細かくしたりするのです。
それから、ようやく丈夫な永久歯に生え替わりが進み、さらにおとなのアゴの大きさと筋肉の強さに適した永久歯の歯並びが完成するのだそうです。
ちなみに、乳歯も永久歯も、生えたばかりは弱く、虫歯になりやすいのだとか。
永久歯が生えたら、ていねいに歯みがきして、長く使えるようにしましょうね。
⻭間部清掃について
⻭間部清掃とは
⻭間部清掃とは、文字通り⻭と⻭の間を清掃することです。
⻭間部清掃に使う道具としては、主に「⻭間ブラシ」と「デンタルフロス」が挙げられます。テレビCM等でもよく宣伝されているため、使ったことはないけれど耳にしたことはあるという人が多いかもしれません。平成28年の調査では、⻭間ブラシやデンタルフロスを頻繁に使用している人の割合は、おおよそ30%でした。国の方針では、40〜50歳における使用率の目標を50%としているので、やや少ないのが現状です。
⻭間部清掃の効果
⻭間部清掃には、どれほどの効果があるのでしょうか。
⻭ブラシで磨いただけの場合、⻭と⻭の間のプラークは約60%しか除けないというデータがあります。⻭ブラシで念入りに⻭をみがいたとしても、⻭と⻭の間には多くの汚れが残り、虫⻭や⻭周病の原因になるということです。それでは、⻭間部清掃を行った場合はどうでしょうか。
図の通り、デンタルフロスを使うと80%程度、⻭間ブラシを使うと85〜95%のプラークを除去することができます。
⻭間ブラシ
⻭の根元などの、広い隙間を清掃するのに使うものです。
ポイント
・⻭肉を傷つけないよう、まっすぐ挿入し、ゆっくりと動かしましょう。
・ドラッグストアには様々な商品が置いてあります。自分の⻭にあった、適切な太さのものを選びましょう。
・奥⻭の間は通しにくいため、ブラシの先端を折り曲げるなどの工夫をしましょう。あらかじめ角度のついたものも販売されているので、ぜひ、⻭間ブラシ売り場を良く見てみてください。
デンタルフロス
糸ようじとも呼ばれ、⻭と⻭がくっついている場所等、狭い隙間を清掃するのに使うものです。
ポイント
・⻭肉を傷つけないよう、無理やり差し込まず、ゆっくりと動かしましょう。
・詰め物や被せ物に引っかかってとれてしまわないように注意しましょう。
・ただ隙間に通すだけではなく、隣り合った⻭それぞれの側面を磨くようにしましょう。
いつもの⻭みがきにひと手間加えるだけで、⻭の健康を保てます。ぜひ、「⻭間部清掃」もしっかり行ってみてください!