歯科衛生士ブログ
スポーツと「⻭」の意外な関係
スポーツ選手も「⻭が命」
世界のホームラン王、王貞治さんは、現役を引退する頃には奥⻭がボロボロだった・・・という有名なお話があります。
これは、ボールを打つ時に奥⻭をグッと噛み締めていたから。
ちなみに、フィギュアスケートの浅田真央さんも、以前インタビューで「ジャンプのときに奥⻭を噛みしめるため、⻭が欠けることがある」と答えていたことがあるそうです。
頑丈な⻭があるから、一流になれる
時速150キロのボールを打ったり、フィギュアスケートでジャンプする時、アスリートたちの奥⻭には数100グラム〜1トンもの負荷(ふか)がかかるのだとか。
人は奥⻭をグッと噛み締めることで、重心が安定し、体がスムーズに動くようになります。
そのため、一流アスリートたちの⻭はボロボロになるわけです。
ちなみに、メジャーリーグでも活躍したイチローさんは、1日に5回⻭を磨いて、良い状態を保つようにケアしていたそうですよ。
嚙み合わせが成績を左右する!?
また、スポーツでトップを目指す子どもたちは、早いうちから⻭列矯正をしてかみ合わせをよくするのだそうです。
なぜなら、噛み合わせが悪いと、脳や顎への刺激が正しく伝わらないから。
トップアスリートはもちろん、私たちが日常生活を送る上でも、⻭並びや噛み合わせが悪いと、仕事や勉強に集中できない・・・ということが起こってしまうのです。
⻭は、アスリートが実力を発揮するために欠かせない要素。
皆さんも、噛み合わせを改善してもっといいパフォーマンスを発揮してみませんか?
舌磨きについて
皆さん毎日欠かさず「⻭磨き」はしていますよね。
では、「舌磨き」はどうでしょう?
「えーっ?舌なんて磨いたことないよ〜」という方も、中にはいるかもしれませんね。
でも、舌もきれいにしておいた方が、実は何かと良いんです。
舌もきれいにして、大切に!
舌の表面には、皆さんもご存じの通り「味蕾(みらい)」と呼ばれる、味覚を感じるセンサーがあります。
また、食べ物を嚙むとき、舌は食べ物を⻭と⻭の間に移動させたり、⻭で噛み砕く際には食べ物を固定したり、さらにはかみ砕いた食べ物を集め、反対側の⻭に移動させて、再度噛んだりします。そして、飲みこめるくらいに細かくなったら、舌はかみ砕いた食べ物を集めてのど、食道に送ります。かみ砕いた食べ物と唾液(だえき)を混ぜ合わせ、飲みこみやすくするのも舌の役割です。さらに、言葉を発するときにも動いて、様々な音を出すためのお手伝いをしています。
舌磨きをすることのメリット
食べたり飲んだりすることで⻭が汚れるのと同じように、舌にも汚れが付きます。白や⻩色、ときには黑っぽい苔(こけ)のようなものを「舌苔(ぜったい)」と呼びます。凹凸がある舌の表面には、はがれた粘膜や食べ物のカスなどがつきやすく、さまざまな細菌が増殖して「舌苔(ぜったい)」になるのです。舌を磨いて、舌苔を取り除くことで、こんな効果があると言われています。
口臭を防ぐ
口臭の主な原因は舌苔だと言われます。舌磨きで舌苔を取り除くことで、口臭予防につながるのです。
味覚を正常に戻す
舌苔が蓄積すると、味を感じにくくなってしまいます。舌をきれいにすると、本来の味覚を取り戻すことができます!
病気を予防する
舌苔の蓄積によってさまざまな細菌が増殖すると、虫⻭や⻭周病、口内炎などの原因になります。舌磨きで舌苔を取り除き、細菌の増殖を抑えることは、インフルエンザや風邪などの感染症対策にもつながるのです。
舌磨きの方法
鏡を見ながら舌を前に突き出して、舌の後方に舌苔がついていないか確認します。
Step2
舌ブラシを鏡で見える最も奥に軽くあて、手前に引いてください。決して力を入れ過ぎないように!汚れが取れたら舌ブラシの先を水道の水でよく洗います。Step1→Step2を何度も繰り返しながら、舌を磨いていきます。
舌磨きQ&Aコーナー
Q:何を使って磨けばいいの?専用のブラシが必要?
A:毛先の柔らかい小児用の⻭ブラシや、目の粗いタオルなどを使って舌を磨いてもOK。ただ、専用の舌ブラシを使うと、さらに効果的です。
Q:舌を磨く頻度やタイミングは?
A:起きた時、⻭を磨くついでに舌を磨けばOKです。それ以上舌磨きをすると、かえって舌の粘膜を傷つけてしまう恐れもあるので、要注意!!舌が汚れたままにしておくと、口臭の原因になってしまうだけではなく、虫⻭や⻭周病、口内炎などの原因になってしまうことも。正しい「舌磨き」を学んで、口の中を清潔に保ちましょう!
粘液のう胞について
いつの間にかできている口内炎、小さいのに痛くて嫌ですよね。
でも、たまに、ぷっくりふくれているのに痛みがない、そんなことはないでしょうか?
もしかするとそれは口内炎ではなく、粘液のう胞(ねんえきのうほう)かもしれません。
今回は、粘液のう胞についてお話します。
粘液のう胞とは
粘液のう胞とは、簡単に言うと、粘膜(ねんまく)の下に唾液(だえき)が溜まって袋状になったできもののことです。もう少し詳しく見ていきましょう。
唾液を分泌(ぶんぴつ)する唾液腺
唾液は、唾液腺という無数の管を通って口の中にでてきます。特に耳の下、顎の下、舌の下辺りに大きな唾液腺が集まっており、
「耳下腺」
「顎下腺」
「舌下腺」
と呼ばれます。これが3大唾液腺です。
また、小唾液腺という小さな唾液腺が口内全体に広がっています。粘液のう胞に関わるのは、この小唾液腺です。
詰まりの原因
唾液が詰まって粘液のう胞ができてしまうのは、多くの場合、唾液腺への傷が原因です。唾液腺が傷つくと、そこから唾液が漏れ出して行き場を失います。それが溜まって袋状になったものが、粘液のう胞なのです。
例えば、食事中に唇を噛んでしまったり、硬い食べ物が当たったりしたときに発生します。また、⻭ブラシによって傷つくこともよくあるので、⻭を磨くときの力の入れすぎにも注意が必要です。
症状
多くの場合、痛みはありませんぷくっとしたできものができます下唇や舌の裏にできやすいです(舌の先にできたものは、ブランディンヌーンのう胞と呼ばれます)
治療法
通常は破れたり、時間が経ったりすることで自然に治癒(ちゆ)します。いじってしまうと治りにくくなるかもしれないので、意識しすぎないようにしましょう。再発を繰り返すときは、手術により一部の唾液腺を取り除いてしまう場合もあります。
世界で一番広まっている病気は歯周病!?
ギネス世界記録に認定
「全世界で最も蔓延している病気は歯周病である。地球上を見渡してもこの病気に冒されていない人間は数えるほどしかいない。」
これは、ギネスブックに実際に記載されている文章です。
2001年、歯周病は全世界で最も蔓延(まんえん)している病気として、ギネス世界記録に認定されました。
30代以上の3人に2人が歯周病
ギネス世界記録に科学的な根拠があるとは限りませんが、少なくとも、多くの人が歯周病に冒(おか)されていることは事実です。
実際に、厚生労働省が実施した歯科疾患実態調査(平成23年)の結果、30代〜70代の3人に2人は、歯周組織に何かしらの異常があることがわかっています。
歯を失わないために
歯を失う原因の中で最も多いのが歯周病です。
多くの人が歯周病になってしまうことがわかりましたが、日頃から口内のメンテナンスを怠らず、できるだけ歯周病にかからないように、進行を遅らせるように気をつけましょう。
歯肉について
皆さんは、普段、歯肉(歯茎)について気にかけているでしょうか。
口内環境を健全に保つためには、むし歯をつくらないことだけでなく、歯肉の状態に気をつかうことも大切です。
歯肉の炎症が進行すると歯周病となり、口内全体に影響を及ぼします。その結果、歯肉が歯を支えられなくなり、歯がグラグラするようになってしまうのです。
健康な歯肉の見分け方
1. 歯周ポケットがない
歯と歯肉の間には、小さな溝があります。この溝にたまった細菌が炎症を起こすと、だんだん溝が深くなり、「歯周ポケット」になります。
2. 色が薄いピンクである
健康な歯肉は、”薄いピンク色”です。赤や赤黒、赤紫の場合は、既に炎症を起こしている場合があります。
3. 歯と歯の間の歯肉の形がきれいな三角形である
健康な歯肉は引き締まっているため、歯と歯の間の歯肉は硬く、先端が尖り、三角形になります。炎症が起こると、引き締まっていないため、先端が丸く見えます。
4. 表面に小さなくぼみ(スティップリング)がある
健康な歯肉をよく見ると、表面に細かなくぼみがあることがわかります。これはスティップリングと呼ばれ、みかんなどの柑橘類(かんきつるい)の表面に似ています。
スティップリングはコラーゲン線維(せんい)というものによって生じるのですが、炎症によってコラーゲン線維が破壊されると、消えてしまいます。
5. 歯を磨いたときの出血や、膿・口臭がない
口内環境が健全であれば、歯を磨くだけで歯肉から出血することはありません。また、膿や口臭などのトラブルも起こりにくいです。
歯の裏側や奥歯の炎症には、歯磨きの時の出血で気づくことが意外と多いかもしれません。
歯肉を健康に保つために
・歯磨きを欠かさず、丁寧に行うこと
・デンタルフロスや歯間ブラシを使用すること
・よく噛み、よく話して唾液の分泌(ぶんぴつ)を促(うなが)すこと
・定期検診に通うこと
・タバコ
・ストレスや睡眠不足
・口呼吸
最古の入れ歯
⼊れ⻭の起源を知っていますか?
⼊れ⻭は、昔から当たり前のように使われています。
⼈々の⽣活を⽀え続けてきた⼊れ⻭は、いったいいつから⽇本にあったのでしょうか。
歴史の⻑い⽇本の⼊れ⻭
⽇本の⼊れ⻭の歴史は、実はヨーロッパより200年も早く始まっています。
16世紀半ばには、ツゲの⽊などを彫刻して仕上げた「⽊床義⻭(もくしょうぎし)」が実⽤化されていました。
この職⼈芸的な⽊床義⻭は、その後明治時代まで⽤いられます。
最初は仏師の⽚⼿間の仕事から始まりましたが、江⼾時代には「⼊れ⻭師」と呼ばれる専⾨職業として定着しました。
⾷事をしても落ちないよう、上顎の粘膜に吸い付いて保持するような仕組みになっていますが、この仕組は現在も使われており、⼿先の器⽤な⽇本⼈の技術の⾼さがうかがわれます。
現存している最古の⼊れ⻭
現存している最古の総⼊れ⻭は、和歌⼭市の願成寺を開⼭した中岡テイ、通称「仏姫」と呼ばれる⼥性のものです。
1538(天⽂7)年に76歳で死去しているので、およそ500年前には⼊れ⻭が普及していたことがわかります。
ちなみに、この⼊れ⻭にはお⻭⿊が施されていたことが、X線解析と⾚外線分析により判明しています。
当時の⼊れ⻭の作り⽅
⽊床義⻭の材料には、割れにくく肌触りの良いツゲが⼀番とされ、中でも伊⾖七島のホンツゲが最⾼級品とされていました。
まずはそのツゲの⽊を輪切りにし、24時間煮てから⽔中に保存します。それを彫刻して⼊れ⻭の形に仕上げます。
また、ろう⽯や動物の⾻、象⽛、⼈間の抜けた⻭などを三味線の⽷で固定して、前⻭の代わりにしていました。
作り始める前には蜜蝋(みつろう)などでしっかり型を取り、最後には当たって痛いところを削るという細かな調整もしていたようです。
二次カリエスについて
「⼆次カリエス」というのは聞き慣れない⾔葉かもしれません。しかし、実はかなり⾝近なものです。詳しく⾒ていきましょう。
まず、「カリエス(caries)」は専⾨⽤語で⾍⻭のことです。⻭科検診のときに、⾍⻭だと「C」と⾔われますよね。それは、カリエスの頭⽂字をとっているのです。
そして「⼆次カリエス」は、⼀度治療した⾍⻭の周囲に再びできてしまった⾍⻭、という意味になります。
銀⻭の下が痛む場合は要注意
⾍⻭を治療してしばらくした後、被せた銀⻭の下が痛くなってきた経験はないでしょうか。
これは⼆次カリエスの典型的な症状です。⼆次カリエスを放置すると、抜⻭が必要になることもあるので、注意が必要です。
なぜ治療した⻭が⾍⻭になるのか
原因1. 銀⻭が錆びる
⼝の中は、酸性やアルカリ性の変化や温度の変化が激しい、過酷な環境です。そのため銀⻭が錆びてしまうことは珍しくありません。錆びて劣化した銀⻭と⻭の隙間に、⾍⻭が発⽣します。
錆びることへの対策として、⾦⻭を使⽤したり、⾦属以外の素材を使⽤する⽅法もあります。
原因2. 接着剤のセメントが溶ける
銀⻭はセメントによって⻭に固定されますが、それが溶けて隙間ができ、⾍⻭になることもあります。
原因3. ⻭磨きが不⼗分
錆びたりセメントが溶けたりしなくても、銀⻭と⻭の境⽬にはわずかな隙間があります。⻭のケアが不⼗分だと、そこからも⾍⻭が発⽣します。
特に隣り合う⻭との隙間には⻭垢が溜まりやすいので、⻭ブラシや⻭間ブラシを駆使して丁寧にケアするようにしましょう。
銀⻭が痛くなる他の原因
⾍⻭でなくても、銀⻭が痛むことはあります。例えば以下のような場合です。
・⻭ぎしりをする
・噛み合わせが強い
・装着した銀⻭の⾼さが合っていない
この場合も、⻭に負担がかかっていることに間違いはないので、⼀度⻭科医に相談してみると良いでしょう。
⾦属はレントゲンを通さないので、銀⻭の内部を詳しく⾒ることはできません。また、⾃分で知覚過敏と判断して⾒過ごしてしまうこともあります。
このように銀⻭の下の⾍⻭は⾮常に⾒つけにくいため、⼩さな違和感を⾒逃さないよう、定期検診を怠らないようにしましょう。