歯科衛生士ブログ
「プラーク」・「歯石」って何?
歯みがきのCMや、歯医者さんで聞く「プラーク」や「歯石」。
なんとなく、歯に良くないものなのかな…? というイメージはありますが、一体どんなものなのかご存じでしょうか?
今回は「プラーク」と「歯石」についてご紹介していきます。
【歯の垢】それがプラーク
プラークは、別名「歯垢(しこう)」とも言います。
漢字を見ると「歯に付いている垢」ということ。
この文字から何となくイメージができるかもしれませんが、プラークとは歯の表面に付着していた細菌のかたまりのこと。
食事の後、食べかすの中で細菌が増殖してプラークになります。
プラークは白色または黄白色をしているので目では見にくいのですが、舌でさわるとザラザラとした感触があります。
また、粘着性が強いため歯の表面にしっかりと付着し、うがいしたくらいでは取れないことも特徴です。
ちなみに、プラーク中には細菌が約600種類も存在しており、プラーク1mg当たりに細菌が約1~2億個存在すると言われています。
プラークと歯石って、何が違うの?
プラークは、歯みがきや口の中の清掃が十分になされていない歯の表面に形成されます。
歯以外にも清掃が不十分な入れ歯や、舌の表面などにも同様に付着します。
プラークが歯に付着するのを防ぐには、まずは歯みがき。
丁寧に歯を磨くことが大切です。
そして、歯と歯の間のケアも忘れずに。
さらに、自分のケアだけでは取り除けない汚れは、歯医者さんでクリーニングしてもらうことも大切です。
そして「歯石」とは、プラークが歯に長い間付着した状態で放っておき、石灰化して、石のようになったものを指します。
プラークは歯みがきをすれば取り除けますが、歯石になってしまうと、自分で取り除くのは難しくなります。
また、歯石があると、歯周病の原因にもなってしまうのだとか。
付着してしまった歯石は歯医者さんで除去してもらい、日々の歯みがきでプラークを取り除き、キレイな歯と口の中を維持するように心掛けましょう!
恵比寿様と大黒様が、口の中にいる?
「恵比寿歯」と「大黒天歯」。
これは、上の前歯2本に付けられた名前です。
前歯は、医学的に言うと「中切歯(ちゅうせっし)」と言います。
さらに、上あご側から生えている前歯は「上顎中切歯(じょうがくちゅうせっし)」と呼ばれています。
この「上顎中切歯」のうち、右側にある前歯が「恵比寿歯」、左側にあるのが「大黒天歯」です。
でも、どうして七福神のうち、恵比寿天と大黒天の名前が前歯に付けられたのか。
これは、江戸時代に民間で広がった二福神信仰がある、と言われています。
二福神とは、恵比寿様と大黒天様のことで、双方ともに商売繁盛をもたらす神様として、人気がありました。
この神様たちをお祀りする際には、右に恵比寿様、左に大黒天様を並べるというしきたりがありました。
これに由来して、私たちの前歯も、右が恵比寿歯、左が大黒天歯と名付けられたのです。
ちなみに、恵比寿歯、大黒天歯が欠けると、お金がこぼれていってしまうというジンクスも存在するのだとか。
歯は大切にしましょうね。
フッ素の虫歯予防効果
なぜ「フッ素」が虫歯予防に効果があるのか?
「フッ素」が虫歯予防に効果的、という話を皆さんも聞いたことがあると思います。
実際に、フッ素を歯に塗ってもらったり、フッ素配合の歯磨き粉を使ったり、ということがあるのではないでしょうか。
でも、どうして虫歯の予防にどうして効果があるの? などなど、今回はフッ素にまつわるおはなしです。
フッ素が持つ「3つの働き」
フッ素は、3つの働きにより、虫歯の発生と進行を防ぎます。
まず、エナメル質の修復促進。
エナメル質とは、歯のもっとも外側、表面を覆う部分で、人体で最も硬いと言われている組織。
このエナメル質は、強すぎるブラッシングや硬い食べ物で傷がついたり、歯垢から出る酸でミネラル成分が溶け出すなどして、日々ダメージを受けています。
フッ素は、酸によって葉から溶け出したカルシウムやリンを補うことで再石灰化を促進、エナメル質の修復を促進します。
また、エナメル質を酸に溶けにくい性質にして、虫歯への抵抗力を高めます。
さらに、虫歯を引き起こす最近の働きを弱め、酸が作られるのを抑える効果もあります。
2)エナメル質の性質強化
3)菌の働きを弱める
フッ素が虫歯予防に役立つのは、この3つの効果があるからなのです。
フッ素配合の歯磨き粉をどう使うか?
フッ素には虫歯予防の効果があるため、市販の歯みがきにはフッ素が配合されているものが多くあります。
フッ素が効果的に働くためには、歯みがきの後、口の中にフッ素が長く残ることが大切。
なので、口の中にフッ素を残す工夫も必要です。
まず、歯みがき後は5~15ミリリットルの水で、5秒間、1回だけすすぐ。
また、歯みがき後1~2時間は飲食しないようにすると、さらに効果的です。
また、寝ている間はだ液の分泌が少なくなり、口の中の自浄作用が低下するため、最近が増えやすくなります。
寝る前の歯みがきにフッ素配合の歯磨き粉を使うのも効果的です。
「歯の神様」がいるって、知ってましたか?
歯の痛みを「神頼み」で治す!?
前に『トイレの神様』という歌が流行りましたが、実は「歯の神様」もいるということ知ってましたか?
江戸の中期~後期にかけて、「歯の神様」信仰が始まったと言われています。
当時はお殿様や大商人など、一部の権力者だけが「口中医」、今でいう歯医者さんに診てもらえました。
それ以外の方々は、歯が痛くなったりしても、お医者さんの診察を受けられなかったのです。
では、どうしていたのか。一般庶民たちは「神頼み」や「おまじない」をするしかなかったのです。
現在でも、歯が抜けたとき「上の歯が抜けたら縁の下へ、下の歯が抜けたら屋根の上に投げる」という風習があります。
こうした「おまじない」で、歯が丈夫になるように、歯痛にならないようにと願っていたのです。
日本全国に「白山神社」と呼ばれる神社があります。
この白山神社の中には、「歯の神様」として信仰を集める神社もたくさんあります。
一説によると、歯が悪くなると口が臭くなる。
つまり、歯が臭い→「はくさ」、そこから、白山神社が歯の神様になった、というダジャレのような説も。
当時の方々にとって歯の痛みはかなり深刻だったようで、「私が死んだ後に墓参りした者は、歯痛から助ける」という遺言を残した人までいたようです。
当時の方々の苦労が、伝わってきますね。
歯みがきの歴史を知ろう!
キチンと歯みがきしないと、【虫歯や歯周病になってしまう】というのは皆さんご存じと思います。
でも、「そもそも、人っていつ頃から歯みがきしてたの?」って、知っていますか?
今回は、人類の歯みがきの歴史をご紹介していきましょう。
人類と歯痛の付き合いはいつ頃から?
そもそも、人はいつ頃から歯痛に苦しんできたのでしょうか?
例えば虫歯は、約30万年前のものと思われるザンビアで発見されたカブエ人の化石人骨よりすでに発見されています。
どうやら歯周病も、同じ頃からあったようです。
ヨーロッパを中心に分布していたネアンデルタール人の化石から歯周病らしき痕が発見されています。
実は、太古の人類には歯周病が多く見受けられ、発生率は現代人より多いかも?と言われています。
大昔の歯科治療!?
現代のような歯ブラシではありませんが、楊枝(ようじ)を使っていた痕跡は世界各地で発見されています。
また、歯にタテの溝が刻み込まれているケースが多くあり、これは、食べかすをかき出していただけではなく、歯が痛いところを硬くとがったものでこすった痕だと考えられています。
2013年、スペインの研究者がバレンシアの遺跡から出土した5万~15万年前のネアンデルタール人の歯を研究し、「歯肉炎の痛みを和らげるために、ある種の植物の楊枝を使っていた」という論文を発表しました。
これは、歯の治療の一種とも言えますよね。
人間は古くから虫歯や歯の痛みと戦ってきたようです。
予防の技術が発達した現代に生きる私たちは歯が痛くなる前に、ちゃんと歯みがきで予防したいですね。
歯の色が人によって違うのはなぜ?
美しい「歯」を保つためには?
「真っ白な歯が見える笑顔がステキ」なんて言いますが、どうして、歯の色って人によって違うのでしょう?
歯は一番外側がエナメル質、その下に象牙(ぞうげ)質になっていて、象牙質の中に歯髄(しずい)、いわゆる「神経」と呼ばれるものがあります。
エナメル質は白の半透明、象牙質は黄色がかった色。
つまり、歯が黄色っぽいのは象牙質の色が透けているからなのです。
また、歯髄(神経)が死んでしまうと歯が黒っぽくなることもあります。
中には「ハリウッドスターみたいに、真っ白な歯になりたい…」という方もいるかもしれませんね。
でも、日本人と欧米人とでは歯の質に違いがあるんです。
日本人はエナメル質が薄く、元々歯の色が欧米人に比べると黄色っぽい傾向があります。
なので、もし欧米人並みの歯の白さを目指したいなら日々のケアはもちろんのこと、ホワイトニングも検討してみてもいいかもしれません。
食べ物や飲み物、特に赤ワインやコーヒー、お茶などに含まれる色素は、歯の表面に付着してしまうことがあります。
こういう場合は、クリーニングで歯を元の白さに戻すことも可能です。
「歯をきれいに保ちたいから、食べたり飲んだりしない!」というわけにもいきませんから、毎日歯みがきをきちんとして、汚れをためないことも大切ですよ。
意外と知らない口の病気
虫歯や歯周病(ししゅうびょう)など、口の中のトラブルになる原因は色々ありますが、放っておくとガンになってしまう病気があることを知っていますか?
今回は「白板症(はくばんしょう)」という病気についてご紹介します。
どんな病気なの?
白板症とは、口の中にこすっても取れない白い板状、あるいは斑点状に表面が硬くなる部分ができるものです。
女性よりも男性の方ができやすく、男性の方が約2倍くらい多いようです。
年齢は50~60歳代が多いのですが、20歳代~80歳代と幅広い年代で症状が出ることがあります。
症状が出る部分としては、下あごの歯ぐきが29%、舌が25%、ほほの粘膜(ねんまく)が24%という順番に多いようです。
痛みがあることは少ないようですが、稀に初期のガンであることもあるので、気になる時は先生に相談すると良いでしょう。
どうやって治すの?
白板症の原因は、放置した虫歯や、差し歯などの尖ったところが粘膜(ねんまく)を刺激して起こるとされています。
また、タバコを吸う習慣が原因になる、ビタミンAが不足することで起こるなどと言われていますが、はっきりとした原因はまだわかっていないと言います。
治療をする場合は、ビタミンAが効くことが多いので、まずはビタミンAを投与し、反応があるかどうかを確認します。
反応がなければ、手術をして、硬くなっている部分を取り除きます。
しかし、手術した後も再発することがあるので、様子を見続ける必要があります。
いずれにせよ、自分では気付きにくい上に、判断するのも危険なので、欠かさず定期健診を受けることを心掛けましょう!