歯科衛生士ブログ
「舌」は健康のバロメーター!?
皆さん、自分の「舌」をまじまじと観察したことがあるでしょうか。
普通は「歯磨きの時に、ちょっと見るかな…」という程度ではないかと思います。
今回は、「舌」を見ることで、自分の健康状態がわかっちゃうかも? というお話です。
舌から健康状態を知る
実は「舌」は、粘膜で覆われ、多くの血管が集まっているため、血液や体液の状態が反映されやすい部位。
そのため、東洋医学には、舌の色と形、舌の表面に付く白い苔のような「舌苔(ぜったい)」の付き方、舌裏の血管などを見て体調を知る「舌診(ぜっしん)」という診断方法があるのだとか。
健康な舌の特徴は、ピンク色で、白く薄い舌苔がかかっていること。
「舌苔は取った方がいい」と思っている方もいるかもしれませんが、取りすぎると舌が傷付いてしまいます。
舌苔には舌の粘膜を保護する役割もあるので、適度に取るようにしましょう。
健康な舌の場合、舌の裏の静脈の太さが2.5~2.7ミリ以下になっています。
黒ずんで浮き出ていたり、左右で血管の太さが違う場合は、循環がうまく行っていない可能性大です。
不健康な舌の状態って…?
では、不健康な舌の状態とは、どんなものなのでしょうか。
まずは「舌苔が黄色い」、「舌が赤い」、「舌苔が少ない」、「舌の表面に亀裂がある」…。
こういった症状がある場合は水分不足かもしれません。
こまめに水分補給し、脂っこいものや揚げ物は控え目にするのがオススメなのだとか。
次に「舌に紫暗色の斑点がある」、「舌の裏にある血管が太く目立つ」。
これは血管が滞った状態。
ぬるめのお風呂に入ったり、半身浴をして体内の血流を良くするとよいようです。
「舌が白く、形が変化している」、「舌苔が湿っている」、こういった方はちょっと元気が不足しているかもしれません。
弱った体力と気力を回復させるためには、質のよい睡眠が大切。
サバなどの青魚を食べるのもいいでしょう。
「舌がピンク色で腫れぼったい」、「舌の縁に歯形がついている」、こんな方は、栄養が偏っていたり、胃腸が弱っている可能性があります。
できるだけ温かい物をとり、胃腸を休ませましょう。
いかがでしたか。
あまり見ることのない自分の舌を観察することで、自分の健康状態を意識してみませんか?
お釈迦さまも歯みがきをすすめていた!
お坊さんも「歯が命」!?
紀元前5世紀ごろ、仏教を開いたお釈迦さま(ブッダ)の周りに多くの弟子たちが集まりました。
お釈迦さまは弟子たちに、自らの教えを説きました。
その中には、こんな内容があるのだそうです。
「その時、僧たちは歯木(しぼく)をかまず、口が臭かったので、釈迦は歯木を噛むことの5つの利益を説いた」。
「歯木」とは、細い棒の先端を噛んでブラシのようにして、歯と舌をみがく、いわば歯ブラシの原型のような道具です。
お釈迦さまは、弟子たちにこの「歯木」を使うことをすすめたのです。
お釈迦さまによれば、歯木を使うと「口臭がなくなる」、「食べ物の味が良くなる」、「口の中の熱をとる」、「痰をとる」、「目が良くなる」として、歯の手入れを弟子たちにすすめたのです。
古代インドの伝統医学「アーユルヴェーダ」では、歯と舌の汚れを取り除き、口の中を清潔にすることは健康維持の一つの方法だと考えていたそうです。
今も昔も、口の中をきれいにしておくことが健康の第一歩、という考え方は変わっていないのですね。
知ってるようで知らない? 「歯ブラシ」について知ろう!
皆さんは、どんな「歯ブラシ」を使っていますか?
「歯ブラシなんて、どれも一緒でしょ」なんて思っていませんか?
実は、歯ブラシには色々な種類があります。
今回は、知っているようで知らない、歯ブラシについて学んでいきましょう。
歯のみがき方から、歯ブラシを選ぶ
ドラッグストアやスーパーなどの歯ブラシ売り場に行くと、本当にいろいろな種類の歯ブラシがあります。
では、皆さんはどんな風に歯ブラシを選んでいますか?
ひょっとして…「なんとなく」とか「好きなアイドルや俳優がCMしてるから」なんて理由で選んでませんか?
歯ブラシの「ブラシ」の部分の大きさや、毛先の形状など、どうやって選べばいいのでしょう?
日本歯科医師会のホームページにある図によると、ブラッシングの時間が「長いか、短いか」、そしてみがき残しが「多いか、少ないか」によって、自分に合った歯ブラシを選ぶと良い、とあります。
この図を見ながら、自分に合った歯ブラシを選んでみてくださいね!
知ってる?歯ブラシの常識
「毛先が細い方が、歯の間の奥まで届くから、きれいにみがけそう」
「歯ブラシのヘッドが小さい方が、奥まで届くからいい」…こんな風に思っていませんか?
実は、毛先が細い極細毛の歯ブラシは、すき間に入り込みやすい反面、汚れをかき出す力は弱いのです。
逆に、毛先が太い歯ブラシは、歯の間の奥までは届きにくい代わりに、汚れをかき出し、きれいにする効率が高いという特徴があるそうです。
なので、極細毛の歯ブラシを使うなら、ブラッシングをていねいに、そして時間をかけて行う必要があるそう。
逆に、毛先の太い歯ブラシを使うときは、歯の間まで丁寧に磨くのを意識してくださいね!
そして、奥歯を磨くとき、ヘッドが奥まで届いているからといって、きれいに磨けているとは限らないのだそうです。
奥歯をきれいに磨くには、ヘッド部分の両肩が丸くなったものや、尖ったものを使うと、より奥まで歯ブラシが入りやすくなることがあるのだとか。
また、口を少し閉じて、下顎を歯を磨いている側にずらすと、奥まで歯ブラシが届きやすくなるそうです。
いかがでしたか。自分に合った歯ブラシで、隅から隅まできれいに歯みがきしましょうね!
歯医者さんの意外な仕事
「警察歯科医」って知ってますか?
「警察歯科医」という仕事を聞いたことがあるでしょうか?
警察署からの依頼を受けて、身元不明のご遺体の歯や口の中の状態と、生前に歯科治療を受けた際のカルテ記録やレントゲン写真などを照らし合わせて、該当者本人の確認などを行う仕事です。
歯は人間の身体の中で、最も硬度が高く、高温にも耐える組織です。
また、人間の歯の数は32本ですが、全ての歯の状態が同じというケースは極めて少ないのです。
そのため、大規模災害などで多数ご遺体がある場合、生前のデータとご遺体の歯や口の中の状態を照らし合わせ、ご遺体の身元確認を取ることが多いのです。
2001年に発生したアメリカ同時多発テロ(9.11)の際には、身元が判明したご遺体の約35%が、また2004年のスマトラ島沖地震による津波災害では、約56%が歯科所見により身元確認ができたとの報告があります。
このように、みなさんが知らない意外なところで、歯医者さんが活躍しているのです。
舌が白くなってる人、いませんか?
舌の表面についている、白い汚れのようなもの。
これを「舌苔(ぜったい)」と呼びます。
皆さんの中にも、舌が白っぽくなっている方がいるのではないでしょうか?
この「舌苔」の正体や、「そもそも取るべき? とるべきではない?」など、舌苔に関する色々をご紹介します。
「舌苔」の正体とは?
舌の表面に白っぽく付着する、汚れのようなもの。
「舌苔(ぜったい)」と呼ばれるのですが、その正体は何なのでしょうか?
実は、食べかすや唾液の成分、あるいはさまざまな細菌などが集まってできたもの。
「舌が白くなるだけなら、ほっといてもいいかな…」と思ったあなた。
舌苔は口臭や味覚障害の原因になるだけでなく、抗生物質の長期服用後や、病気の部分症状として現れることもあるのです。
では、どんな時、あるいはどんな人に舌苔はできやすいのでしょうか。
簡単に言うと「口の中が不潔」だと、舌苔ができやすい、と言われます。
また、口の中が乾燥していても、舌苔がつきやすいと言います。
・間食することが多い
・食後に歯みがきしない
・寝る前の歯磨きをしないことが多い
・口で呼吸している
舌苔が多いなと思う方は、この辺りをチェックしてみてください。
何か解決策が見つかるかもしれませんよ。
舌のケアは、優しくていねいに
「歯磨きはするけど、舌はどうしたらいいの?」という疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
舌の上には、口臭の原因となる細菌も多いため、舌苔がたまると口臭の原因にもなります。
なので、特に口臭が気になる方は、舌苔を取り除くとよいでしょう。
「舌の汚れなら、うがいすれば取れるでしょ」と思う方もいるかもしれません。
しかし、舌の表面は凸凹しているため、うがいしたくらいでは舌苔は取れません。
一方で、舌は傷つきやすいので、優しく丁寧にケアすることが大切です。
舌を傷つけず、効率よく舌苔を取り除くには、舌ブラシ(またはやわらかい歯ブラシ)を使用して、奥から前方へ3回程度、軽い力でかき出します。
口臭が気になる、舌が白いのが気になるからと言って、1日に何度もゴシゴシこするのはNG。
優しく、丁寧に取り除いてあげてください。そして何より、口の中を清潔に保つこと。
歯みがきもぜひ、丁寧にしてくださいね。
伝記で有名な「あの人」も歯科出身
野口英世さんを知っていますか?
幼い頃左手に大やけどを負い、母から「学問で身を立てよ」と教え諭されて育った英世は、医者を目指し20歳で上京します。
そして、医学開業試験の前期試験に合格しますが、そこで資金を使い果たしてしまいます。
途方に暮れているところに現れたのが、高山歯科医学院(現在の東京歯科大学の前身)の血脇守之助でした。
当時、歯科医の数が少なく、歯科医師を目指すには外国語の素養が必要でした。
そのため、歯科医師たちは私塾や勉強会を立ち上げ、熱心に指導をおこなっていたのです。
高山歯科医学院で講師をしていた血脇は、かつて福島へ出張診療に出かけた際に英世と出会っていました。
そして、その才能に感心していた血脇は、英世を歯科医学院のスタッフとして採用。
また、左手の再手術を取り計らうなど、多大な支援を行ったのです。
英世は後に、血脇の援助を受けて渡米。
細菌学の研究で頭角を現し、後には黄熱病や梅毒の研究で世界に名を知られるようになりました。
世界的にも知られる野口英世の偉大な業績。
その背景には、実は、歯科医師学校のバックアップがあったのです。
「噛む」って、実はスゴいんです
普段、何も意識せずにご飯を食べていますよね。
でも、実は「噛む」ことには、ものすごい可能性が秘められていることをご存知でしたか?
今回は「噛む」ことが私たちに与えるすごい影響について、ご紹介しましょう。
「よく噛んで食べる」ことのメリット
皆さんは食事の時、よく噛んで食べていますか?
飲み物で流し込むようにして食べていませんか?
よく噛んで食べると、どんないいことがあるのか。
沢山良いことがあるのですが、今回はいくつか絞ってご紹介します。
まずは、食べ過ぎを防ぐことができます。
よく噛んで食べると、ちょうど良い量できちんとお腹いっぱいになります。
だから、食べ過ぎて肥満になる可能性が低くなるのです。
次に、脳の発達につながる、という研究結果も出ています。
しっかり噛まないと食べられないエサを与えられたマウスと、噛まなくても食べられるエサを与えられたマウス。
双方を比べてみると、良く噛まないで食べられるエサを与えたマウスは記憶や空間認知能力などに深く関係する海馬の活動が不活発になったのだそうです。
表情豊かに、虫歯予防にも!
よく噛んで食べるメリットは、まだまだあります。
よく噛んで食べると、味覚が鋭くなります。
また、口の周りの筋肉をよく使うことで、あごが発達し、表情が豊かになったり、言葉の発音がきれいになります。
さらにさらに。よく噛むと、唾液がたくさん出ます。
唾液には食べ物のカスや細菌を洗い流す作用があるので、よく噛んで食べると、むし歯や歯肉炎の予防につながります。
唾液には「ペルオキシダーセ」という食品の発ガン性を抑える酵素が含まれているので、ガンの予防に繋がるのだとか。
どうでしょう。ここまで挙げていくと「よく噛んで食べた方が良い!」と思ったのではないでしょうか。
では、実際にどうしたら、よく噛んで食べられるのでしょうか。
一つは「よく噛む」ことを意識すること。
一口につき30回は噛むようにします。
急いで食べると、それだけあまり噛まずに飲み込んでしまうことになるので、ゆっくり食べるようにしましょう。
もう一つは、食べ物を水や飲み物で流し込まないこと。
食べ物が口にあるときは、よく噛むことを意識して、あまり飲み物を飲まない。
よく噛んで、飲み込んでから、飲み物を飲むようにしてみましょう。
皆さんもよく噛んで、もっと健康になりましょうね!!