歯科衛生士ブログ
歯みがき後のうがいは「1回」がオススメ?
虫歯予防の効果に大きな違いが!?
虫歯にならないために、皆さん毎日歯をみがいているはず。
では、歯みがきした後、何回うがいをしていますか?
実は、歯みがき後のうがいの回数が、虫歯予防に大きく関係するかもしれません。
虫歯は「ミュータンス菌」、いわゆる虫歯菌が糖を食べて酸を作り、その酸が歯の成分であるハイドロキシアパタイトを溶かすことによって起こります。
これを「脱灰(だっかい)」といいます。
しかし、初期の虫歯では、唾液に含まれるリン酸イオンやカルシウムイオンが歯のエナメル質層に浸透し、溶けて失われた部分に補充され、歯を元の健康状態に戻す「再石灰化」が起こります。
フッ化物を含むハイドロキシアパタイトは再石灰化を起こしやすく、しかも、いったん歯に戻ると脱灰しにくくなる。
言い換えると、歯の表面が虫歯に強くなっていくのです。
そのため、虫歯予防にはフッ素入りの歯みがき剤(ペースト、粉など)が良いと言われているのです。
ところが、歯みがきの後に何回もうがいをすると、歯みがき剤に含まれるフッ化物が流れて薄くなってしまいます。
ですから、歯磨き後の仕上げのうがいはごく少量の水で1回だけにする。
加えて、しばらく飲食しない。
こうすることで、再石灰化効果が高まると言われています。
知っておきたい「親知らず」のケア方法
あなたには「親知らず」ありますか?
大人の皆さんの中には、親知らずがちょっとした悩みのタネ…という方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、「親知らずって何?」から、「親知らずのケアの方法」まで、ご紹介していきましょう。
なぜ、親知らずはトラブルの原因になりやすい?
そもそも「親知らず」とは何か?
「親知らず」とは、正確には第三大臼歯(だいさんだいきゅうし)のこと。
永久歯の一番奥、前から数えて8番目に生える歯です。
一般に生えてくるのが17歳〜21歳頃。
つまり親の手を離れた頃に生えることから「親知らず」や「智歯」と呼ばれます。
しかも、必ず生えてくるものではなく、個人差があります。
しかも、生え方によっては、お口のトラブルの原因にもなりやすい歯でもあります。
「この間、親知らずを抜いたんだよ」なんていう会話がよく交わされるように、親知らずは抜歯の対象になりやすい歯です。
それは、生え方に問題があることが多いからです。
一つは、傾斜して生えるケース。
親知らずが生えるスペースが足りないと、斜めや横向きに生えてきて、隣の第二大臼歯を圧迫してしまいます。
こうなると汚れもたまりやすく、歯みがきも困難。
とうぜん、隣の歯にも虫歯が発生しやすくなります。
もう一つは、「水平埋伏(すいへいまいふく)」といって、親知らずが顎の中で横向きになったまま、生えてこない状態です。
こうなると、隣の歯の根を刺激して、歯の根やまわりの骨を溶かしてしまうことがあります。
毎日のケアが肝心!
「確かに、ちょっと斜めに生えてきてるけど、何ともないから大丈夫〜」と油断するのは禁物。
親知らずは口の一番奥に生える上に、正常に生えてこないことも多々あります。
そのため、歯みがきが十分にできず、虫歯や歯周病の原因になりやすいのです。
虫歯や歯周病の原因にしないためにも、毎日のお手入れが肝心。
歯ブラシで磨く時には、歯ブラシを斜め横から入れ、親知らずに毛先をきちんと当てます。
そして、小さめに口を開け、小さく動かして磨きましょう。
口を大きく開けると、ほっぺたが引っ張られて歯ブラシを入れにくくなります。
親知らずだけでなく、その手前の歯の後ろ側も、しっかり磨きましょう。
歯間をきれいに磨くには、毛束が1つの、ヘッドが小さな歯ブラシ「タフトブラシ」を使うのもオススメです。
そして、もし親知らずが痛んだり、腫れたりした時には、すぐ歯医者さんに診てもらうようにしましょうね。
もう一度知っておきたい「歯みがきの基本」
どうして歯を磨くの?
なぜ、歯をみがかなければいけないのか。
それは、歯に付着した生きた細菌の集まり「プラーク」を取り除くためです。
プラークは歯と同じような乳白色をしているため、注意してみがかないと、残ってしまいます。
しかも、プラークは水に溶けにくく、うがいしただけでは取り除くことができません。
歯にプラークが付いたままにしておくと、虫歯や歯周病の原因になります。
だから、歯みがきが大切なのです。
プラークが付きやすいのは「歯と歯の間」、「歯と歯肉の境目」、「かみ合わせの面」など。
これらの部位に、歯ブラシの毛先が届くように意識しましょう。
歯をみがく時には、歯ブラシの毛先を歯面(歯と歯肉の境目や、歯と歯の間)にきちんと当て、毛先が広がらない程度の軽い力でブラッシングします。
動かし方は、小刻みに。5〜10ミリ程度動かして、歯を1〜2本ずつみがくイメージで動かしましょう。
歯ブラシの持ち方には、しっかりにぎる持ち方(パームグリップ)と、えんぴつを持つような持ち方(ペングリップ)とがあります。
みがく場所に合わせて、持ちやすい持ち方でみがきましょう。
もし、歯をみがく時に力が入りすぎてしまう場合には、えんぴつを持つような持ち方で、毛先が広がらない程度の力加減を意識してみましょう。
歯みがきは、力を入れ過ぎず、小刻みにていねいに。
特に寝ている間は口の中の唾液(だえき)が少なくなり、ふだんよりも口の中をきれいにする力が落ちます。
だから、寝る前にはしっかり歯をみがいて、きれいな状態で寝るようにしましょうね。
意外と大切な「噛み合わせ」を知ろう
歯並びがきれいかどうか、歯そのものの白さは気にすることがあると思いますが、「噛み合わせ」を気にしたことはあるでしょうか。
今回は、自分でもチェックできる歯の噛み合わせについて学びましょう。
自分でもできる! 歯の噛み合わせチェック
自分の歯の噛み合わせが良いかどうかを気にしている…という方は、ひょっとしたら少ないかもしれません。
でも歯の噛み合わせが悪いと物を噛む力が低下したり、発音が悪くなったり、ほほや舌を噛んで口内炎ができやすくなることもあるのだとか。
噛み合わせをチェックするポイントは、全部で6つあるのだそうです。
上の歯が下の歯より2〜3ミリ外側に並んでいるか。
前歯だけでなく奥歯も、上の歯が下の歯より2〜3ミリ、外側に並んでいるのが良い状態です。
②〈左右のバランス〉
上下の前歯の真ん中が一致しているか。
上下のあごの骨や歯の噛み合わせがずれていると、食べ物をしっかり噛めなくなるだけでなく、顔を正面から見た時に、顔の下半分が曲がり、ゆがんで見えることがあるそうです。
➂〈上下の前歯の噛み合わせの深さ〉
上の前歯が下の前歯に2〜3ミリの高さで重なっているか。
下の前歯が1/3程度隠れる深さで重なっているのが理想的です。
上下の前歯が噛み合っていなかったり、逆に上の前歯と下の前歯の重なりが4ミリ以上ある場合は、理想的な状態とは言えません。
➃〈歯並びの状態〉
歯が横の歯と重ならずに並んでいるか、永久歯の歯と歯の間にすき間が空いていないか。
あごの骨の大きさと、歯の大きさのバランスが取れていないと、永久歯に生え換わる時にスペースが足りずに歯が重なってしまったり、歯並びがガタガタになることがあります。
⑤〈鼻呼吸ができているか〉
力を入れなくても自然に唇を閉じることができるか。
口呼吸が習慣になっていないか。
前に出ている上の前歯があったり、口元全体が前に出ていると、無自覚に口呼吸になっている場合があります。
自分の横顔を見た時、口元が出ていないかどうかチェックしましょう。
⑥〈口角の位置〉
口を閉じた時、左右の口角の高さは同じでしょうか。
鏡で自分の正面の顔を見て、左右それぞれ、目から唇の端までの距離を確認しましょう。
口角の高さがずれている場合、左右の噛み合わせがずれている可能性があります。
また、笑顔を作ってみて、その時の左右の口角の高さに違いがないかもチェックしてみましょう。
あなたは知ってますか? 口・歯にまつわる故事・熟語
切歯扼腕(せっしやくわん)
「切歯扼腕(せっしやくわん)」は、大昔にあった事件を基にしてできた言葉、いわゆる「故事成句」です。
そして、この言葉の基になったとされる事件は、なかなか衝撃的なものです。
秦の始皇帝暗殺を命じられた荊軻(けいか)という人物は、同じく秦の始皇帝を倒そうと考えている将軍・樊於期(はんおき)に計画を相談します。
すると樊於期は、自分の腕を強く握りしめ、「それこそ、私が日夜歯ぎしりして、待ち続けたことだ」と言うと、自ら自分の首を切り落としたのだそうです。
荊軻は、クーデターを起こそうとしていた樊於期の首を持ってきた、という触れ込みで秦の始皇帝に近付こうとしましたが、暗殺自体は失敗に終わったのだそうです。
自分の腕を強く握りしめることを「扼腕(やくわん)」、激しく歯ぎしりすることを「切歯」と言います。
樊於期が怒り・くやしさ・無念さなどの気持ちから、歯ぎしりをし腕を強く握り締めたことを受けて「切歯扼腕(せっしやくわん)」は非常にくやしがっているさまを表現する言葉になりました。
歯みがきの歴史を知ろう!
毎日お世話になる歯磨き粉。
今や、色々な色や味のものを選びたい放題ですよね。
そういえば、この歯磨き粉って、いつからあるのでしょうか。
今回はそんな歯磨き粉にまつわるお話です。
人類と歯痛の付き合いはいつ頃から?
歯磨き粉の基本的な役割は、歯を白くして口臭を消すこと。
この歯磨き粉、日本ではどうやら江戸時代あたりから製造・販売が盛んになったようです。
当時の歯みがき粉は陶土を水でこした上澄みの粒に香料を混ぜてつくられたものが多く、粒子は粗め。
歯のエナメル質が削られて、歯を磨くほどに脆くなる粗悪品もあったと言います。
現代と同じように、江戸時代にも様々な歯磨き粉が発売されました。
例えば、1625年に江戸の丁子屋喜左衛門が発売した「大明香薬」は、朝鮮伝来の製法を取り入れて売り出したもの。
当時の口中医(歯医者さん)の兼康祐悦が創業、現在も東京都文京区で商売を続ける「かねやす」からは「乳香散」という歯磨き粉が発売。
式亭三馬の滑稽本『浮世風呂』には「梅紅散」という商品名が登場しています。
歯みがき粉売りは江戸のエンターテイナー!?
江戸時代、歯磨き粉はどのように売られていたのか。
「歯みがき粉売り」という職業があったのだそうです。
引き出し付きの棚を肩にかけ、毎朝「おはよう、おはよう」と声をかけ路地を回り歩いたのです。
この「おはようの歯みがき粉売り」は、江戸末期には市中だけで数百人に上ったといわれます。
歯みがき粉売りは、江戸のちょっとした人気者だったようです。
「百眼米吉(ひゃくまなこのよねきち)江戸の花、梅勢散薬歯磨」とかけ声の威勢がよかった百眼米吉は、大恩寺前と書かれた箱と、目が描かれた半面がトレードマーク。
お寺の境内などでは、巧みな口上で人々の注目を引き、芸を見せて歯磨き粉を売る人たちもいました。
松井源水は浅草寺の界隈で独楽(こま)回しの曲芸を見せ、歯の薬と歯磨き粉を売っていました。
松井源左衛門や長井兵助は居合い抜きを見せて歯磨き粉を売るだけではなく、抜歯や入れ歯を作ることもしていたのだとか。
今で言うなら、歯磨き粉売りたちが自分たちでCMをしていたようなもの、なのかもしれませんね。
「親知らず」の意外と知らない豆知識
口の一番奥に生えてくる永久歯、「親知らず」。
一番多ければ上下左右に1本ずつ合計4本ありますが、人によっては4本ともない、あるいは1~3本ないこともあるそうです。
また、親知らずが歯ぐきに埋まったまま、生えてこないこともあるのだとか。
なぜ、親知らずと呼ばれるかと言うと、諸説あるようです。
例えば、乳児の歯の生え始めとは違い、親がこの歯の生え始めを知ることがないから。
あるいは、20~25歳ごろに生えるので、(平均寿命が今よりもずっと短かった頃は)昔は親と死別していることが多かったから、という説があるようです。
ちなみに英語では「wisdom tooth」と言い、物事の分別がつく年頃になってから生える歯だから、とされています。
親知らずが斜めに生えたり、途中までしか生えないと、歯ブラシで磨きにくくなり、虫歯になりやすいことがあります。
また、歯と歯ぐきの間にプラークや食べかすが溜まり、不衛生になり、炎症を起こすこともあると言います。
同じ理由で、口臭の原因になることも。
親知らずの抜歯にもいろいろな方法があるようですが、痛みを抑えるための手法・工夫が最近はなされてきているのだとか。
もし、親知らずが気になる・・・という時は、先生に相談してみましょうね!!