フッ素によるむし歯予防
フッ素は天然の食品からも摂取することが可能なのですが、より効率をあげてフッ素で歯質強化を図るには、意図的にフッ素を応用することが不可欠です。
フッ化物応用については、
1.全身的な応用法→水道水のフッ素化(フロリデーション)
2.局所的な応用方法
- (1)プロフェッショナルケア(歯科医院で)→フッ化物塗布
- (2)パブリックケア(学校、職場で)→フッ化物洗口法
- (3)ホームケア(家庭で)→フッ化物洗口、フッ化物配合歯磨剤、スプレーなど
それぞれの応用に適している年齢は次の表で見ることができます。
フッ素応用によるむし歯対抗のメカニズム
従来、フッ素の応用により、歯の表面にはフルオロアパタイトが形成(フライパンのフッ素樹脂のようなコーティング)され、歯の結晶性も向上、更に再石灰化が促進され歯質の耐酸性(むし歯の歯を溶かす成分は酸ですから)が向上していくと考えられていたのですが、現在の最新の考え方としては、フルオロアパタイトは溶けてしまい歯面上のフッ素は、フッ化カルシウムの形で残っており、それが直接、酸とぶつかって消費されていくという考え方になっています。
フッ素の使用法で主体となるのは、歯科医院で高濃度のフッ素を用いて行うプロフェッショナルケアと家庭で行う低濃度フッ素によるホームケアです。高濃度のフッ素は歯面を少しだけ脱灰して、そこにフッ化ナトリウムの居場所をつくってくれるものの、約2ヶ月でフッ化ナトリウムが消費され、その後の効果がなくなってしまいます。毎日家庭用でのホームケアをすることは難しいにしても、できれば少しずつ行うことが一番大切です(一番いいのは両方を併用して行うのがいいとされています)。
行う時期も問題です。バイオフィルムの上からではフッ素塗布はほとんど効果がありませんから、PMTCなどを行った直後に行うことで更に効果的にフッ素の取り込みが起こると考えられています。前橋市フクロ歯科医院では、この歯質強化のメカニズムをフッ素塗布の形で子供さんのむし歯のみならず、成人の歯茎近くでできるむし歯にも応用しています。 また、お子さまの治療終了後にはフッ素塗布を行っていただいています。
歯科医院で行うフッ素塗布の実際
ご家庭で行っていただくフッ素塗布(レノビーコ)
フッ素は毎日使用することによってむし歯になりにくい強い歯がつくれます。歯磨き粉としてご使用になる場合にはフッ素配合と書かれているか、パッケージ裏?の成分欄に「モノフルオロリン酸ナトリウム」「フッ化ナトリウム」「フッ化第一スズ」のいずれかが記載されているものを選んで下さい。歯磨き粉は歯ブラシの植毛部分に3分の1程度付ける感じでOKです。また、うがいは2、3回程度で十分。口の中に残ったフッ素がむし歯予防の効果を高めます。磨き終わって30分前後は、ものを食べたり、お茶を飲んだりするのは避けましょう。ところで子どもの虫歯を予防するためには、フッ素以外の歯磨き粉の成分は必ずしも必要ではありません。とくに仕上げ磨きの時に歯磨きをつけて磨くと泡で歯がよく見えなかったり、子どもが息苦しくなったりして十分に磨けないことがあるので使用しないほうがいいとされています。そこで歯磨きのように使用して効果的なものとしてフッ素のホームジェルを用います。ただし歯磨き粉とは使用方法が若干異なり、歯磨きを行い、歯の汚れを除去した後に歯ブラシにフッ素ジェルをつけて歯に塗り込みます。そのあとは20~30分間はうがいや飲食はせずにできるだけフッ素が歯の表面に接している時間を持続させます。(そのまま就寝してしまうのが一番いいです)フッ素入りの歯磨き粉は、うがいをするため、フッ素ジェルに比べると効果が低く、フッ素入りの磨き粉を使用する方にも、最後にフッ素ジェルを塗ることをお勧めしています。
また低年齢児のためにスプレー式のフッ素(レノビーゴ)も販売しています。夜、歯を磨いた後に、歯ブラシにスプレーをして歯の全体に塗るようにする物で、直接歯に吹き付ける方法もありますが、この場合も歯ブラシを使った方が確実です。塗布の後はうがいとかせずにそのまま就寝してください。